完全な自動運転社会が実現するまでの過渡期においては、まずは限られた条件の下での自動運行装置による走行を達成し、徐々にその条件を広げ弱めていきます。自動運転技術の社会実装には、その時々の技術の進歩に合わせて、適切にこの条件付けをしていくことがとても重要になります。

日本の法律では、この条件を「走行環境条件」と呼んでいます。どのような手続で条件が付されるのか、道路運送車両法施行規則31条の2の2の規定をみてみます。

第三十一条の二の二 条件の付与を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣(又は国土交通大臣の権限が委任された地方運輸局長。以下この条において同じ。)に提出しなければならない。
一 申請者の氏名又は名称及び住所
二 条件の付与を受けようとする装置の名称及び型式
三 自動運行装置が使用される場所、気象及び交通の状況その他の状況
2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 前項の条件の付与の申請に係る装置が第四項の基準に適合するものであることを証する書類
二 自動運行装置を取り付けることができる自動車又は特定共通構造部の範囲
3 国土交通大臣は、前二項に規定するもののほか、申請者に対し、条件の付与に関し必要があると認めるときは、必要な書面の提出を求めることができる。
4 国土交通大臣は、第一項の条件の付与の申請に係る装置が、第一項第三号に掲げる状況で使用されるものと仮定した場合において、道路運送車両の保安基準第四十八条に定める基準(=自動運行装置に関する保安基準)に適合すると認めるときは、条件を付するものとする。
5 国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第四項の規定による条件の付与を取り消すことができる。
一 当該条件の付与の取消しを求める申請があつたとき。
二 不正の手段により付与を受けたとき。

ポイントは、次の点にあります。

  1. 条件付けは装置ごとに行われるということ
  2. 場所、気象及び交通状況その他様々な要素で条件付けされるということ
  3. 申請に対する審査制であるということ
  4. 審査の基準は自動運行装置の保安基準に適合しているかであること

申請者は、基本的には自動車メーカーですので、自動車メーカーとしてはこの条件設計も含めて自動車を製作することになります。