CASEのS クルマの「シェア」

自動車産業のキーワードとして「CASE」という言葉がありますが、今回は、そのうちS(=Shared&Services)を考えます。

発想の出発点は、自動車による移動と自動車の所有とを区別するという点です。

従来、基本的には自動車による移動という利用価値は、その所有者が享受するものと考えられてきました。しかし、自動車の所有には、購入費用に加え、駐車場・検査・燃料・税等の維持コストがかかります。

シェアという手段は、自動車を所有しない者にとっては、これらの所有コストを負担せずとも移動の利益を得られ、自動車を所有する者には、自身の車両によって収益を図ることを可能にするものですし、さらにはMaaSのサービスと掛け合わされることで他の移動手段とも相互に関連付けられ、社会全体として移動効率の向上を図ることにもなります。

シェアサービスを大きく分類すれば、カーシェアライドシェアに分けられます。字のごとく、車両自体をシェアするのか、1回の移動のみをシェアするのかということです。サービスの内容によって、この差は曖昧になる可能性はありますが、法的には車両の賃貸借契約なのか、車両による旅客運送契約なのかという明確な線引きがあります。

また、カーシェアサービスには、レンタカー事業(カーリースは含まない)として自家用自動車有償貸渡業の許可が必要で、ライドシェアサービスには、タクシー・バス事業として旅客自動車運送事業の許可が必要です。ですので、基本的にはCtoCの事業は現行法の下では成り立ちにくく、上のいずれかの事業許可を受けた業者によるBtoCサービスの展開を考えることになります。

以上を前提に、新たなサービスの形を考えると、次の2つの方向性に整理できます。

①メーカーによるカーリースサービス(サブスクリプション)

②タクシーの相乗り制(カープール)/バスのオンデマンド運行

それぞれ、コネクテッドカーや自動運転の技術とも結びつき、とても興味深い事業分野ですので、また別の機会に詳しく検討してみようと思います。

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