法律はどのように作られるのか、公開情報を頼りにできる限り具体的に調べてみましょう。
前回までで、法律案を成立させようと思えば、衆議院及び参議院で過半数(できる限り議長含む)、または衆議院の3分の2以上に賛成を投じさせれば確実(ただし、定足数は3分の1の出席)ということを確認しました。
では、ある法律案を両議院の会議の議題にあげるためには、どのような条件が必要なのでしょうか。
法律案は、議長に提出して、これを発議するための条件を充足させなければなりません。
そして法律案は、国会議員(=議員立法)と内閣(=内閣立法)が提出することができます。
まずは議員立法の発議要件をみてみましょう。
国会法56条は、議員が議案を発議するには、衆議院で議員20人以上、参議院で議員10人以上の賛成が必要としており、但し、予算を伴う法律案を発議するには、衆議院で50人以上、参議院で20人以上の賛成が必要と定めています。
予算を伴う法律案とは、予算関連法案とも呼ばれ、政策の実施にあたり予算措置を必要とする法律案のことをいいます。
議長は議員より上記発議要件を満たして法律案の提出を受ければ、関係する委員会に付託し、その委員会で会議に付するのが適当との決定がなされて法律案が審議されます。
次に内閣立法の発議要件をみてみましょう。
内閣法5条より内閣総理大臣が内閣を代表して、国会に法律案を提出するとされています。この場合どちらの議院の議長にも提出できます(どちらか一方のみに提出した場合でも、他方に対し予備審査のため5日以内に同一案を送付する必要があります)。
内閣立法の場合、議員立法のような発議要件は定められていません。
以上のとおり、立法の種類は議員立法と内閣立法とがあり、前者は発議に必要な定足数(衆議院20人、参議院10人(ただし、予算関連法案は衆議院50人、参議院20人))が設けられていますが、後者にはこのような要件は設けられていないということになります。
では、法律案とはどのような過程を経て作成されるのでしょうか?次回以降で検討します。