CASEのC「繋がる」クルマ

自動車産業のキーワードとして「CASE」という言葉がありますが、今回は、そのうちのC(=Connected)について考えます。

自動車がリアルタイムで外部と繋がるということは、どういうことなのか、具体的に考えてみましょう。

自動車には、従来からETCやVICSなど「繋がる」システムが搭載されていました。ただ、これはDSRC(Dedicated Short-Range Communications=専用狭域通信)という通信方法を用いるものです。これは、高速道路などの道路横に設置されている路側通信機とその近くを通行する自動車に搭載されている車載通信機とだけがスポット通信するという狭域通信システムで、私たちが普段スマホやPCで使用しているインターネットとは異なる通信システムです。

「CASE」のCとして、コネクテッドカーと呼ばれる次世代自動車は、インターネットで広く多数の媒体と同時に繋がることを可能とする自動車を指します。そして、自動車の通信方法をインターネットに置き換えるには、5Gの導入が不可欠と考えられています。5Gは、従来の4G/LTEと比較して高速・大容量・低遅延・多数同時接続を実現する次世代通信規格で、その導入により多数の自動車がほぼ遅延なく外部と同時に繋がることが可能となるのです。

では、自動車がインターネットを通じて外部と繋がると、どのような価値が生まれるのでしょうか。

1つには、リアルタイムで自動車の運行情報を発信することができます。これによって、保険やレンタカー事業、渋滞管理、事故解析、遠隔操作による自動運転、他車両の運行情報を取り入れた運行計画の更新、事故予防システム、自動緊急通報等が可能となります。

さらに、リアルタイムで自動車が外部の情報を受信することもできます。これによって、車内の娯楽や運転者の仕事効率化、人流・物流サービスのクオリティ向上、運行場所に即した広告サービスの提供等が可能となります。

ここで、法的な観点から押さえておきたいのは、

①自動車の運行情報の発信によって、個人情報やプライバシーを害しないかという点

②インターネットを通じて自動車がハッキングされた場合には誰がどのような責任を負うかという点

です。

これらについては、それぞれ詳しく考える必要がありますので、別の記事で考えてみたいと思います。

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